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片山 芳則; 服部 高典; 齋藤 寛之; 福井 宏之*
no journal, ,
液体の水は特異な性質を示す。これは、水素結合によるネットワーク構造と関係がある。シミュレーションによる研究は、数GPaから数十GPaという圧力によって、水素結合ネットワークの弱化や分子解離といった大きな変化が起きることを予測している。最近の高圧技術の発展と放射光源及び中性子源の発展によって、このような圧力領域での構造変化の直接観察は非現実的ではなくなった。われわれは、日本の放射光施設SPring-8のBL14B1に設置されているキュービック型マルチアンビルプレスを用いて、液体の水のX線回折を9GPa、420Cまで測定した。直径1.5mmという大きな試料サイズとダイヤモンド容器の利用によって、高圧セルからのバックグラウンドX線を試料からのX線回折より小さくすることができた。分子間の距離はほぼ一定のまま、水分子の配位数は約4GPaで10程度まで急激に増加した。水の構造は圧力の増加とともに剛体球モデルで記述できるような単純な構造へと変化していく。この結果は最近の中性子散乱研究の結果と一致している。